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「浸水対策ナビ」マガジン
高齢者施設における浸水対策の重要性
対策のポイントやおすすめの製品を紹介
「浸水対策ナビ」マガジン【No.28】
近年、日本国内では異常気象などの影響から記録的な豪雨を観測し、甚大な被害を受けています。
梅雨の季節や台風の時期、季節の変わり目などは天気が不安定になりやすく、過去に水害が起きていない場所でも警戒が必要です。
特に高齢者施設を含む、要配慮者施設ではこうした豪雨などによる浸水対策・災害対策が義務化となり、各施設では早急に取り組む必要があります。
ここでは高齢者施設が行うべき浸水対策や、おすすめの対策方法を紹介します。
施設の管理者や職員の方はぜひ参考にしてください。

高齢者施設において浸水対策は急務


線状降水帯の発生に伴う豪雨や台風による水害の規模は、年々大きくなっています。平成23年から令和2年までの10年間で全国の市町村の98%が水害を経験しているというデータもあり、水害は非常に身近なものになっています。例えば、2016年の台風10号の豪雨により、岩手県の認知症グループホームでは入居者9名が亡くなる事例や、2020年の九州豪雨では、河川の氾濫により熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入居者65人のうち14人が犠牲になった例も記憶に新しいのではないでしょうか。このような痛ましい事例が起こった背景には、水害時の訓練が行われていなかったり、避難マニュアルが定まっていないことも明らかになりました。

こうした実態を踏まえて、国は「水防法」及び「土砂災害防止法」を改正し、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の所有者または管理者に対し、避難確保計画の作成・避難訓練の実施を義務化しました。また2021年にはエレベーターやスロープの設置、避難スペースの回収、非常用自家発電装置の設置など浸水対策を補助する制度も導入されています。
参考資料:介護施設等の水害対策の強化 | 地域介護・福祉空間整備等施設設備交付金 [PDF]

しかし補助の利用率は支援開始からの2年で、目標件数のわずか1割程度しか利用されていないのが実態です。浸水対策の補助制度の存在を十分に周知できていなかったことや、新型コロナウイルスの流行によってうまく申請ができなかったことなどが要因だと考えられています。
同じような被害を繰り返さないためにも、高齢者施設における浸水対策などの災害への備えは、急務となっています。

参照:内閣府(防災担当)|市町村のための水害対応の手引き[PDF]

高齢者施設で行うべき浸水対策


要配慮者が利用する各施設において、浸水対策は重要な課題です。浸水被害対策を適切に実施するために以下の対策をご検討ください。

要配慮者が利用する施設では、自力での避難が難しい方が生活しているため、避難には多くの時間と人手が必要です。全員が無事に避難するために、日頃からの防災意識や対策・訓練が重要となります。
施設管理者は施設利用者が安心・安全に利用できるよう、豪雨や台風による浸水対策を含む、災害への備えを今一度、見直してみましょう。それぞれのポイントについて詳しく解説します。

水害の場合は、地震や火災とは違って天気図などからある程度予測ができるため、浸水などの被害が起こるまでに適切に行動することで利用者を無事に避難させることができます。
施設利用者が迅速かつ安全な避難をするためには、避難に必要な設備・備蓄品を確保しておく必要があります。とくに高齢者施設では歩行が困難なケースや支援が必要な方が生活しているため、施設利用者の視点から避難に必要な設備・備蓄品とは何なのかを検討しましょう。

【避難に必要な設備の例】 
● 非常用発電機
● 非常用電源の燃料
● スロープ(エレベーターの代替え)
● 階段昇降機
● 支援可能な階段幅の確保
● 浸水しない高さの部屋
● 防水板

例えば、建物の2階などへの垂直避難であれば、高齢者施設では施設利用者やサポートするスタッフの身体的な負担を考慮しエレベーターを避難設備として使用することが望ましいと考えられます。被災によってエレベーターが止まる可能性をふまえ、車いすやベッドで移動し、停電の前に避難を完了できるように備えましょう。またエレベーターの設置が難しい場合や停電時に備えて、担架やストレッチャーなどを用意しておくと安心です。

浸水対策といえば土のうが使われることが多いですが、設置に労力がかかることや積み方によっては意味をなさない可能性もあります。防水板は、施設の出入り口に簡単に設置でき、施設内への水の侵入を最大限に防ぐことができるため非常に便利なアイテムです。
そのほかにも避難先までの移動手段となる車両や、浸水が迫っている際に着用できるライフジャケット、避難先での暮らしをサポートするものなど、さまざまなケースを想定して装備品や備蓄品を確保しておきましょう。以下は、避難時に必要になる装備品・備蓄品の一例です。

【避難に必要な装備品・備蓄品の例】
● ラジオ、テレビ
● パソコンやタブレット端末
● 電話
● 携帯電話、スマートフォン
● 電池、非常用電源、充電器
● 施設利用者名簿
● 案内旗
● 懐中電灯
● ハンドマイク
● 雨具
● ライフジャケット
● 避難ルートマップ
● 担架・ストレッチャー
● 救急用品
● 移動用車両
● 水・食糧
● 衛生用品

このように高齢者施設の立地条件や利用者の状態によって必要な備品は異なるため、施設利用者の特性をしっかり把握し、避難環境をしっかりシミュレーションをすることが大切です。

災害に見舞われた際にどのように避難するのか、どのように安全性を確保するのかを明確に計画立てておく必要があります。避難確保計画の作成は高齢者など要配慮者が利用する施設において義務となっており、国土交通省が避難確保計画作成の手引きを公開しているため、参考にしながら作成すると良いでしょう。

【避難確保計画作成の手引き・チェックリスト】
避難確保計画作成の手引き(洪水・内水・高潮) 要配慮者利用施設 [PDF]
避難確保計画作成の手引き(津波) 要配慮者利用施設 [PDF]
要配慮者利用施設管理者のための土砂災害に関する避難確保計画作成の手引き [PDF]
国土交通省 | 要配慮者利用施設の浸水対策

災害はいつ起こるか予測ができないため、夜間や土日などスタッフが少ないケースなどもしっかり想定しておくと安心です。また計画を立てるだけでなく、施設職員や避難支援者などに周知・教育しておかなければ、いざという時に計画通りに行動できません。施設職員に対しては、入職時に説明会を開く、定期的に見直しを行うなど、周知の機会を設けることで、日頃から意識を向けることができるでしょう。また施設の利用者やその家族、地域の避難支援者などに対しては避難訓練などを通して理解してもらうといいでしょう。

避難訓練計画は、一度作成すれば完了するものではありません。定期的に避難確保計画自体を見直し、改訂する必要があります。以下は避難確保計画の見直しポイントの一例です。
災害時には予想できなかった事態が数多く起こります。繰り返し見直し・改善を行い、さまざまなケースに対応できるようにしましょう。

【見直すポイントの例】
● 気象情報や河川情報、土砂災害に関する情報、避難情報の収集・伝達方法は適切か
● 避難を開始するタイミングは適切か
● 利用者の避難支援のための体制確立は適切か
● 安全確保の避難先は適切か
● 避難ルート・避難方法は適切か
● 避難支援に必要な要員は適切か
● 避難に必要な設備を確保しているか

非常時に適切に行動するためには、常日頃から万が一に備えた防災教育を行なっておくことが不可欠です。非常時はパニックに陥ったり、冷静に行動することが難しくなります。それぞれが違った認識で行動をとると、統制が取れず避難が遅れる可能性が高くなります。施設職員はもちろん、施設利用者や支援者が非常時の行動を理解しておくことで、スムーズに避難することができるでしょう。

防災教育をおこなう上で、各役割のリーダーを決めておき、日頃から定期的に防災教育を実施することが大切です。行政職員や防災士など防災知識がある機関が開催する講習会や取り組みに参加することで、最新の情報を得ることができます。防災意識を身につけるためには、積極的かつ継続的に取り組むとことが大切です。

防災教育は座学だけではなく、実際に災害が起こった時を想定した避難訓練で実践することが非常に大切なポイントです。頭では理解していても、いざという時に動けないことの方が多いでしょう。
利用者や施設職員が適切に動けるか、また避難確保計画は正しく機能しているかを確認するためにも避難訓練の実施は有効です。「水防法」や「土砂災害防止法」により、避難訓練の実施は義務づけられており、原則として年に1回以上は実施しましょう。

高齢者施設・要配慮者が利用する施設では、避難訓練自体への参加が身体的に負担になる可能性があります。できるだけ短時間で実施できるよう、訓練の内容に優先順位をつけたり、別日に分けて実施する、役割をローテーションするなどの工夫が必要です。
また避難確保計画に基づいて避難訓練を実施するだけでなく、避難訓練を通して改善点はないか、常に振り返りを行いアップデートすることが推奨されています。避難訓練を実施するたびに、訓練の目的や目標を設定することで、振り返りやすくなります。
避難訓練を実施した際には、以下のようなポイントをチェックし、より安全に早く避難する方法はないか見直しを行いましょう。以下はあくまでも一例です。

【振り返りで見るポイントの例】
● 想定した避難時間は適切であったかどうか
● 避難ルートの安全性は確保できていたか
● 避難支援のスタッフは十分であったか
● 設備や備蓄品に過不足はないか

訓練を行った当事者が集まり、訓練を振り返れるような話し合いの場を設けると進めやすいでしょう。施設利用者が困ったことはなかったか、不明な点や不安なことがないか、参加者の意見を反映できる体制を整えることが大切です。

高齢者施設の浸水対策に防水板(止水板)がおすすめの理由

高齢者施設の浸水対策には防水板が非常に効果的でおすすめです。
防水板とは玄関や地下へつながる階段の入り口など水の侵入経路となる部分に設置することで、水の侵入を防ぐ防災アイテムです。
従来であれば土のうなどで浸水を防止していましたが、土のうは積み方にもコツがいり、設置のために大きな労力が必要です。土のうを防水板に置き換えることで、施設職員の作業負担を軽減し、頻繁にセットして備えることができます。また、防水板を活用することで以下のようなメリットがあります。

●立ち退き時にセットしておくことで被害を抑えられる
●電気室を防水扉にすれば浸水による停電を防げる

ただし、防水板は水の侵入を完全に防ぐものではありません。想定水位を超える可能性や、津波には対応できない点など、理解しておきましょう。

豪雨などによる河川の氾濫が予想される場合、安全な場所への避難は必須です。しかし避難時に防水板を設置しておけば、豪雨などが過ぎ去った後に施設内の浸水被害を最小限に抑えることができるでしょう。施設内の浸水を防止できれば、設備の故障を防いだり、施設利用者の私物を守ることもできます。施設運営の再開も短期間で整えることができるため、施設職員や利用者にとっても大きなメリットになるでしょう。
立ち退き時にセットするのであれば、設置が簡易に行える脱着式防水板がおすすめです。おすすめの脱着式防水板を紹介しましょう。

脱着式の防水板はアピアガード 「アピアシャット」がおすすめです。高い防水性能はもちろんですが、持ち運びやすく簡単に設置できるため、緊急時でも慌てず行動することができます。緊急時は時間との勝負になるため、設置手順が簡単であることは防水板を選ぶうえで重要なポイントです。
「アピアシャット」は、浸水高さ1.5mに対応できるため、1mを超える浸水想定区域に該当するエリアでもご利用いただけます。
また、中柱を使用することで連装できますので、広めのエントランスや地下につながるスロープなどにも向いています。

「脱着タイプ防水板 アピアガード アピアシャット」カタログはこちら →

アピアガード 「オクダケ」は、名前の通り防水パネルを置くだけで、浸水対策ができます。工事は、開口部の左右にレールを取り付けるだけの簡単施工。使用する際には分割式の3枚の防水パネルをレール内に重ねて置くだけなので、工具も必要ありません。防水パネルはアルミ製で軽量なので、持ち運びしやすい点も災害時に有効です。また、コンパクトに収まるため平常時も場所を取らずに保管ができます。

「簡易脱着タイプ防水板 アピアガード オクダケ」カタログはこちら→

電気室や設備室など、施設のライフラインを管理する部屋を浸水から守ることで、停電を防ぐことができます。電気室が浸水し停電すると夜間の災害時には暗闇での避難になり、時間がかかるだけでなく危険です。特に高齢者施設では身体の負担からエレベーターを利用して避難することも想定しているため、電気室を守ることで避難を効率的に行うことができます。
また電気設備が浸水してしまうと漏電や火災の危険性があり、災害後の復旧にも時間を要しますので、防災扉への置き換えをおすすめします。

防水扉はアピアガード「アピアS型ドア」がおすすめです。アピアガード「アピアS型ドア」は、普通のスチールドアと同じように閉じるだけで、日常的に浸水に備えることができます。
浸水高さ3mが新たに追加され、地下の出入り口や電気室・機械室のライフラインをしっかり守ることができるでしょう。高齢者施設や病院など多くの利用者が集まるような施設におすすめです。

「防水扉 アピアガード アピアS型ドア(浸水高さ3m)」カタログはこちら→

まとめ

高齢者施設や要配慮者が利用する各施設では、毎年のように起こる水害対策が
早急な課題となっています。
とくに自力での避難が難しいことや、避難に時間がかかることを想定した対策が求められています。

利用者と施設職員全員の速やかな避難のためのツールの一つとして、
鈴木シャッターでは様々なタイプの防水板を数多く取り扱っており、実績も豊富です。防水板選びで悩んだ場合は、お気軽にご相談ください。

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