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「浸水対策ナビ」マガジン
台風の進路予想図の見方を解説!予報円が示す意味とは
「浸水対策ナビ」マガジン【No.31】
台風シーズンが近づくと、強風や豪雨による影響がどこまで及ぶのか心配されます。特に台風の進路予想図は、私たちの生活に直接影響し、時に命にも関わる重要な情報です。

しかし、その見方や意味を正確に理解するのは意外と難しいものです。
この記事では、台風進路予想図の基本的な見方から、予報円の意味、季節による台風の特徴の違いまで、わかりやすく解説します。
ここで得た知識は、より適切な防災準備や行動につながります。台風への備えを考えている全ての方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

台風進路予想図とは

台風進路予想図は、気象庁が発表する台風の現在位置と今後の進路予測を視覚的に示したものです。
この図は台風の中心位置、予想進路、強風域や暴風域の範囲などを含み、防災対策や日常生活の計画に役立つ重要な情報源となります。台風の動きや影響範囲を時間の経過とともに把握できるため、適切な備えや避難の判断に不可欠なツールとして広く活用されています。

台風進路図の見方
用語 意味
予報円 (白い破線の円) 台風の中心が特定の時間後に到達する可能性がある範囲を示す円。
中心が70%の確率でこの円内に入ると予想される領域を示します。
暴風警戒域 (赤線内の領域) 台風の中心が予報円内に進んだ場合に、
暴風域に入る可能性のある範囲を表す領域です。
暴風域 (赤い円内) 平均風速25m/s以上の強い風が吹いている、
または吹く可能性がある範囲を示します。
強風域 (黄色い円内) 平均風速15m/s以上の風が吹いている、
または吹く可能性がある範囲を表します。

予報円の正しい意味

例えば、白い点線で示される「予報円」が大きいとき、ここからどんなことがわかるのでしょうか?
実は、予報円と台風の強さや大きさとは無関係。「台風の中心が70%の確率で到達する領域」を示しており、進路方向と速さから算出されています。
つまり、予報円が大きいということは、台風の進路がはっきりしないため、広い範囲で注意が必要ということになります。反対に予報円が小さい場合は、台風の進路に入る可能性が高く、具体的な地域で警戒が必要ということがわかります。
ただし、予報円の外側を台風が通過する可能性も30%あることを忘れてはいけません。最新の情報を常に確認し、状況の変化に注意を払うことが大切です。

なお、台風の強さを知りたい場合は、台風情報の「最大風速」を確認しましょう。
・風速33m/s以上44m/s未満であれば「強い」
・風速44m/s以上54m/s未満であれば「非常に強い」
・風速54m/s以上であれば「猛烈な強さ」
という表現が用いられます。

台風の大きさを知りたい場合は、台風情報の「風速15m/s以上の強風域の半径」を確認しましょう。
・半径が500km以上800km未満であれば「大型(大きい)」
・半径が800km以上であれば「超大型(非常に大きい)」
という表現が用いられます。

台風情報のここに注目

台風が発生した際に適切な防災行動を取るには、台風情報を正しく理解することが重要です。
台風情報を見る際に押さえるべきポイントをお伝えします。

台風は地球の自転の影響で北半球では反時計回りに風を巻き込みながら進行します。
このため、進行方向に向かって右側の半円では、台風自体の風と進行方向の風が重なり合い、より強い風が吹きます。一方、左側の半円では台風自体の風と進行方向の風が衝突し相殺されるため、相対的に風が弱くなります。

さらに、台風は中心に向かって湿った暖かい空気を取り込む性質があります。この空気の流れは右側でより顕著となり、結果として台風の右側により多くの積乱雲が発生し、雨量が増加します。

このような理由から、台風の進路の右側に位置する地域では、強風や豪雨、高潮などによる災害の危険性がより高まるため、十分な警戒が必要です。

夏台風と秋台風には異なる性質があります。違いを確認してみましょう。

夏台風は秋台風に比べて、進路予想が難しく動きが遅いのが特徴です。その主な理由は、夏場の大気の状態にあります。夏は日本付近を高気圧が覆っており、台風を導く偏西風が日本の北側を流れています。このため、夏台風は日本に接近してものろのろと動くことが多く、長時間に渡って雨風の影響を受ける点に注意が必要です。

一方で、秋台風は動きが速く、風も強くて雨量が多いのが特徴です。秋は偏西風が南下するため、その偏西風に台風が乗ることで速度も風量も増すわけです。また、夏の間に上昇した海水温度が低下しにくいことも、台風の勢力を強くする要因の一つです。

夏台風と秋台風の性質を把握して、適切な防災対策を取るようにしましょう。

天気情報などで「台風が温帯低気圧に変わりました」といった言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。台風が温帯低気圧に変わるとどうなるのでしょうか?まずはその違いを解説します。

■台風と温帯低気圧

そもそも台風とは、熱帯低気圧が発達して「中心の風速が17.2m/sを超えたもの」のことです。熱帯低気圧とは、熱帯や亜熱帯の海上で発生した低気圧で、暖かい海の大量の水蒸気がエネルギー源になっています。一方、温帯低気圧とは、中緯度の地域で発生した低気圧で、北からの冷たい空気と南からの暖かい空気が混ざって渦を巻くことで発生します。

つまり、熱帯低気圧が発達して台風となり、それが北上して中緯度地域まで来ると、北からの冷たい空気を巻き込んで温帯低気圧になるという流れです。

台風が温帯低気圧に変わると、その性質は大きく変化しますが、決して安心はできません。温帯低気圧化すると、台風特有の対称的な構造が崩れ、風雨の強い範囲が中心から離れたところにも広がり、広範
囲で予想外の強風や豪雨に見舞われる可能性が出てきます。

特に注意が必要なのは、前線を伴うことで雨の範囲が大きく広がる点です。温帯低気圧化した後も、広い範囲で大雨が続くことがあります。また、進行速度が速くなることで、急激な天候の悪化をもたらす可能性もあります。

さらに、温帯低気圧化の過程で一時的に勢力が強まることもあり、油断すると思わぬ被害につながる恐れがあります。したがって、台風が温帯低気圧に変わった後も、気象情報に注意を払い、適切な防災行動を続けることが重要です。

台風災害への備え

台風が接近する際、適切な防災行動を取るためには、正確な情報収集が不可欠です。台風情報の確認方法や重要なチェックポイント、そして備えるべき事項について、以下で詳しく解説します。

台風の最新情報は、気象庁の公式サイトで確認できるほか、各民間気象会社のウェブサイトやアプリでも入手できます。気象庁のサイトでは、より精度の高い公式情報を得られる一方、民間気象会社のサイトでは独自の予測モデルに基づく情報や、より分かりやすい解説を確認できる場合があります。
台風情報でチェックすべき主なポイントは、以下の通りです。

1. 台風の進路予想・勢力
台風がどのルートを通り、どの程度の勢力を保ったまま接近するかを確認します。進路や勢力の変化に注意し、最悪のシナリオを想定した備えが重要です。
2. 暴風域・強風域に入る時間帯
暴風域(風速25m/s以上)や強風域(風速15m/s以上)に入る時間を把握し、外出や屋外作業の計画を立てます。特に暴風域に入る前に安全な場所への避難を完了させる必要があります。
3. 雨や風の予想
予想される雨量や風速を確認し、浸水や土砂災害、強風被害のリスクを把握します。特に、短時間での激しい雨や、長時間にわたる降雨に注意が必要です。
4. 気象警報・注意報
台風情報とともに、お住まいの地域の警報や注意報を確認しましょう。
警報や注意報は、気象要素(表面雨量指数、流域雨量指数、風速、波の高さなど)が基準に達すると予想した区域に対して発表されます。
 

台風情報は気象条件の変化に応じて更新されるため、定期的かつこまめに最新情報をチェックすることをおすすめします。

台風接近時、各家庭で適切な備えを行うことが重要です。必要な対策を以下の表にまとめました。

対策 内容
ハザードマップの確認 居住地域の浸水リスク、避難先、避難ルートを確認する
側溝・排水溝の掃除 雨水がスムーズに排水されるよう清掃
土のう・防水板(止水板)の設置 玄関や出入口、建物開口部などに土のうや防水板(止水板)を設置
持ち出し品の用意 貴重品、非常食、医薬品等を準備
不要不急の外出を避ける 安全な場所で待機する
家財の移動 浸水の恐れがある場合、家財を高所へ移動
情報収集 最新の気象情報や避難情報を確認する

事前に居住地域のハザードマップを確認し、災害リスクや避難先を確認しておきましょう。浸水の心配がある場合は、玄関などの建物開口部に土のうや簡易防水板(止水板)を設置し、浸水を防ぐ準備をします。側溝や排水溝の掃除も忘れずに行い、雨水の排水をスムーズにします。非常時に備えて、貴重品や非常食を含む持ち出し品も用意しておきましょう。

そして、大雨や暴風による災害発生の恐れがある場合は、不要不急の外出を控え、安全な場所へ避難・待機することが大切です。暴風雨になってから屋外に出ることは非常に危険です。早め早めの行動を心がけて、身の安全を確保しましょう。

企業が行うべき浸水被害対策については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
関連記事:
・工場や倉庫が行うべき台風対策とは|浸水被害を防ぐ方法と必要性を紹介!(浸水対策ナビNo.13へ)

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