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「浸水対策ナビ」マガジン
線状降水帯とは?豪雨への備えと対策
「浸水対策ナビ」マガジン【No.12】
28,000棟以上の浸水被害をもたらした「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」や、被害総額が1.8兆円を上回った「令和元年東日本台風」。このような大規模な豪雨災害が近年起こっていることを背景に、企業は今後どのように水害対策を考えていけばよいのでしょうか?

この記事では、2014年8月の広島豪雨で注目されるようになった「線状降水帯」をテーマに掲げ、2022年6月1日に開始した「線状降水帯予測」や、各企業が講じるべき防災対策について解説します。

線状降水帯とは?

線状降水帯とは、発達した積乱雲が次々と帯状に発生し、数時間にわたって同エリアに猛烈な雨を降らせる現象のことです。気象学や数字上における明確な定義はないものの、気象庁は線状降水帯について次のように明記しています。

【気象庁用語における線状降水帯の定義】
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域を線状降水帯といいます。
※引用元:気象庁

下図は、「令和2年7月豪雨(熊本豪雨)」で発生した、長さ約280km・幅約70kmに及ぶ線状降水帯の例です。

画像出典元:気象庁HP「顕著な大雨に関する気象情報を補足する線状降水帯の表示
(2020年7月4日午前3時頃)


図内には、エコー強度の強い領域が熊本県を中心に描かれており、3時間降水量が150mm以上に達しているところもあります。これらの顕著な大雨によって同日、球磨川などの一級河川の氾濫や大雨特別警報の発表が相次いだことが、事態の重大さを伝えていました。

そんな線状降水帯の発生メカニズムや、時間的・地域的な特徴については、以下で詳しく解説します。

線状降水帯が発生するメカニズム

※画像出典元:気象庁HP「線状降水帯とは」


線状降水帯が形成される仕組みは、一般的に以下の通りです。

①「湿舌(しつぜつ)」と呼ばれる東シナ海方面からの暖かく湿った空気が、日本付近の大気下層に流入し続ける
②下層の暖かく湿った空気と相対的に冷たい空気が衝突して小型の寒冷前線を形成し、大気の状態が不安定となる
③発達期・成熟期・衰退期といった、発達段階の異なる積乱雲が次々に発生して組織化する
④積乱雲群が上空の風に流される一方で、下層の暖湿な空気によって新たな雲が生まれ続け、同じ場所に降水ラインを形成する

積乱雲とは本来、水平方向の広がりが10km程度、平均寿命が30分~1時間ほどの発達した雲を意味します。夏場などは単体で発生することもありますが、その多くは同時複数的に作られ、数十kmに及ぶ団塊やラインを形成することも少なくありません。積乱雲は、下層の暖かく湿った空気が持ち上げられること(「大気不安定」の状態)で発生し、集中豪雨や甚大な災害につながる直接の原因となっています。

積乱雲が同じ経路に発生し、線状降水帯を形成する理由や実態については、いまだ研究段階といえるでしょう。しかしながら背景の1つとして、地球温暖化による海水温の上昇や水蒸気量の増加がもたらす影響が指摘されています。
※参照元:海洋研究開発機構

線状降水帯が発生しやすい時期

線状降水帯は、活発な梅雨前線の影響を受ける梅雨期のうち、特に末期頃に発生しやすい傾向があります。いつからとするかは地域やその年によって判断が分かれますが、概ね「6月末~7月上旬」を指すことが多いものです。

線状降水帯が梅雨期に見られる要因としては、以下の点が挙げられます。

【線状降水帯が梅雨期に多発する理由】
・停滞する梅雨前線に向かって南西からの風が吹き込み、多量の水蒸気を供給するため
・台風を基盤とする暖かく湿った空気が流れ込むことで、梅雨前線が活発化するため
・太平洋高気圧が勢力を増す時期にあたり、その縁を回る暖湿な南風が入り続けるため
・前線上に小さな低気圧(メソ低気圧)が発生しやすいため

梅雨期は、前線の南側でたくさんの水蒸気が補給される一方、上空には寒気が流入するなどの不安定要素が重なりやすい時期です。それゆえに、下層の風が吹いてくる方向に積乱雲が数珠つなぎに発生する「バックビルディング(後方形成)」が起こりやすい条件下にあるといえます。

気象庁による線状降水帯予報

気象庁は2022年6月1日から「線状降水帯予測」を開始しました。

事前予測は、地方予報区(全国を11のブロックに分けたエリア)を対象地域とし、6~12時間前までに「気象情報」の題目で発表されます。発表時点で「警戒レベル4相当以上」の状況にありますが、半日前に可能性を伝えることで事前準備や日中の避難行動につなげる狙いがあります。

なお、警戒レベル4とは「過去の重大な災害の発生時に匹敵する危険性」を周知するための防災情報です。

線状降水帯予測の適用期間中は、猛烈な雨や突風、雹などの激しい現象が長時間続き、甚大な災害につながるおそれがあります。線状降水帯予測が発表された際は、直ちに以下の防災対策・避難行動を心がけてください。

【線状降水帯予報が発表された時の行動】
・気象庁のサイト「キキクル(危険度分布)」やハザートマップで災害リスクの高まりを把握する
・避難場所や避難経路を確認する
・窓や雨戸を施錠する
・ブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉める
・建物周辺の風に飛ばされそうなものをロープなどで固定する
・帽子やヘルメットで頭部を覆い、日中のうちに避難を開始する

しかしながら、線状降水帯予測の的中率は未だ25~50%程度にとどまり、現段階における高精度の予想は難しい現状です。速報が出ない中で線状降水帯が発生する「見逃し」の危険性もあるため、情報が出ていなくても避難経路を確認するなど、災害への警戒を高める必要があります。

梅雨や台風・線状降水帯による豪雨への備え

今や毎年のように発生していますが、日頃から防災に取り組むことで被害を最小にとどめることが可能です。
防災目線でのアプローチとしては、防災訓練をはじめ、防災マニュアルや防災備蓄品の整備などが挙げられます。家族や地域の防災力を高め、安心安全に過ごせるよう豪雨災害への備えを今一度確認しておきましょう。

【豪雨に備えた事前準備】
・自分が住んでいる場所や生活圏をハザードマップで確認し、どんな危険性があるかを把握する
・警報や豪雨情報など危険が迫った際の情報入手方法やアプリを確認しておく
・建物の水の浸入経路や電気設備のある場所を把握し、浸水対策を準備する
・避難経路や避難場所の確保、防災備蓄品の整備、防災マニュアルを策定する

現代人は今や、気候変動よりもさらに深刻性を増した未曾有の「気候危機時代」を生きています。中でも線状降水帯がもたらす集中豪雨は、人命の危険を伴う大災害となるおそれがあるため、予測技術の向上や避難体制の整備が欠かせません。

一方で、企業内でも防災対策の意識が高まっており、「事業継続」の観点から多方面でのアプローチが取られています。浸水対策をスマート化できる防水板もまた、企業内での大きな物的損害を防ぐために欠かせないアイテムの1つです。豪雨シーズン到来を前に、ぜひ防水板「アピアガート」の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

アピアガード「オクダケ」が豪雨対策におすすめ!

アピアガード「オクダケ」施工事例 日本郵便株式会社 様

全国で導入が進んでいるアピアガード「オクダケ」の施工事例をご紹介します。

鹿児島県奄美市の郵便局で防水板オクダケを導入。その後豪雨に見舞われた際オクダケによって 浸水被害を免れた経験から、九州エリアを皮切りに全国の郵便局の約400店舗へ導入されました。

★導入のポイント

・人がまたげる高さなので、営業しながらでも止水可能
・土のうの代わりに簡易的に設置可能
土のうの100倍の止水性能 
※完全防水ではありません。

24時間営業のコンビニなど、なかなか出入り口を閉めることのできない業態や、マンション、オフィスなどにもおすすめです。
このように、「オクダケ」は豪雨による浸水害を防ぐバリケードとして、高機能で軽快なツールといえます。
製品や費用のご相談など、お気軽にお問い合わせください。

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