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「浸水対策ナビ」マガジン
ハザードマップとは?
意味や種類・使い方・調べる際に押さえるポイントを解説
「浸水対策ナビ」マガジン【No.29】
もしも今、大地震や洪水が起きたら、どんな行動をとるでしょうか?

自然災害はいつどこで発生するか予測が難しいため、あらかじめ災害に備えることが重要です。特に、住んでいる地域でどのような災害リスクがあるのかを把握することは、命を守るために不可欠。このような背景から、ハザードマップが注目されています。

このコラムでは、ハザードマップの意味や入手方法、さらにその活用方法について詳しく解説します。ハザードマップを活用することで、災害時の適切な行動を準備し、自身と大切な人々の安全を確保する手助けとなるでしょう。また、減災やBCP(事業継続計画)を考える上でも、ハザードマップは欠かせません。

ハザードマップとは

ハザードマップは、地形や災害履歴などの情報を基に、自然災害による被害の可能性がある区域や避難場所などを地図上に示したマップのことです。洪水、地震、津波、土砂災害など、災害の種類ごとに作成されています。

ハザードマップは地域防災の観点から市町村が主体となって作成していますが、種類によっては国や都道府県も協力して作られています。

ハザードマップは、自然災害が発生した際に想定される危険な場所や避難経路、避難場所の情報を地図上にまとめられており、事前にリスクを把握して適切な避難行動を促す目的で利用されます。特定の災害に特化したものであり、災害の発生確率や危険度、避難情報などに焦点を当てています。

一方、ハザードマップと類似するものとして「防災マップ」があります。防災マップは、ハザードマップの情報に加えて、避難所や避難先、AEDなどの救命施設の位置など、防災に関する総合的な情報を地図上に示したものです。自治体によってはハザードマップにまとめられている場合もあります。

ハザードマップは「被害予測地図」、防災マップは「避難支援マップ」と位置づけることができるでしょう。ハザードマップと防災マップ、そのどちらもしっかりと確認して普段から防災意識を高め、もしもの時の備えと適切な行動につなげていくことが重要です。

ハザードマップの種類

ハザードマップは、災害の種類ごとに作成されており、それぞれ確認できる情報が異なります。
ここでは、代表的なハザードマップである洪水、内水、高潮、津波、地震、火山、土砂災害の7種類について解説します。

洪水ハザードマップは、河川の氾濫により浸水が予想される区域と浸水の深さ、避難所等の情報を示した地図です。
洪水の危険性が高い地域の浸水範囲や浸水深、避難所や避難ルートを確認することが可能です。これにより、洪水発生時の避難行動や避難経路の計画を立てることができます。

内水ハザードマップは、大雨によって下水道などの排水施設の能力を超えた水が地表にあふれ出る内水氾濫の危険性を示した地図です。
浸水が予想される区域や浸水深、避難所等の情報を確認できます。都市部など、下水道整備が進んでいる地域での浸水リスクを把握するのに役立ちます。

台風や低気圧による高潮によって浸水が予想される区域や浸水深、避難所等の情報を示した地図を、高潮ハザードマップと呼びます。
高潮の危険性が高い沿岸部の地域で、浸水範囲や浸水深、避難所や避難ルートを確認することができます。高潮は予告なく急激に水位が上昇することがあるため、早めの避難行動が重要です。

津波ハザードマップは、地震による津波で浸水が予想される区域や浸水深、避難所等の情報を示した地図です。
沿岸部や川沿いの地域で、津波による浸水範囲や浸水深、避難所や避難ルートを確認することができます。津波は非常に速いスピードで到達するため、速やかな避難行動が必要です。

地震ハザードマップは、地震の揺れやすさや液状化の危険度、地震火災発生の危険度、建物の倒壊危険度などを示した地図です。
地域の地盤の特性や断層の状態を考慮して作成されており、自分の住んでいる地域の地震災害リスクを把握することが可能です。地震に備えた家の耐震化などの対策に役立てることができます。

火山の噴火により影響が及ぶ可能性がある範囲や、避難所等の情報を示した地図が火山ハザードマップ。
火口周辺の危険区域や避難所、避難ルートを確認することができます。噴火の可能性が高まった場合には、速やかに避難することが重要です。

土砂災害ハザードマップは、土砂災害(がけ崩れ、土石流、地すべりなど)の危険性がある区域や避難所等の情報を示した地図です。
土砂災害の危険性が高い区域では、がけ付近の危険箇所や避難所、避難先を確認することができます。大雨や地震の後は、土砂災害の発生に注意が必要です。

ハザードマップポータルサイトの見方

引用:ハザードマップポータルサイト

洪水や土砂災害、高潮、津波などの自然災害のリスクを確認するには、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」が便利です。このサイトでは、全国のハザードマップを閲覧することができます。
ハザードマップポータルサイトには、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2種類のマップがあります。それぞれの見方と注意点について説明します。
参考:ハザードマップポータルサイト

重ねるハザードマップは、全国どこでも、さまざまな災害リスク情報を地図上に重ねて表示することができるのが特徴です。例えば、洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域を同時に表示することで、複合的な災害リスクを把握することができます。
重ねるハザードマップの使い方は、以下の通りです。

① 地図上で確認したい場所を選択する
② 表示したい災害の種類を選択する
③ 地図上に災害リスク情報が表示される

選択した災害の種類に応じて、浸水深や土砂災害の危険度などが色分けされて表示されます。また、避難所も同時に表示することができるので、いざという時の避難行動に役立てることができます。
なお注意点として、「重ねるハザードマップ」に掲載している情報は、国や都道府県等の関係各機関が作成した災害リスク情報です。最新かつ詳細な情報については、市町村が作成した水害ハザードマップを使用するようにしましょう。

わがまちハザードマップは、各自治体が作成したハザードマップを閲覧することができるものです。自分の住んでいる地域の詳細なハザードマップを確認することができます。
わがまちハザードマップの使い方は、以下の通りです。

① 都道府県と市区町村を選択する
② 表示したい災害の種類を選択する
③ 各市区町村のホームページのハザードマップが表示される

選択した自治体のハザードマップが表示されるので、調べたい地域の災害リスクを詳しく確認することができます。各自治体によって異なりますが、ハザードマップ以外に防災関連情報なども掲載されている場合は併せて確認しましょう。

ハザードマップの使い方

ハザードマップの使い方の一例として、自分がいる場所の災害リスクと避難場所を調べてみましょう。

① ハザードマップ(防災マップ)を入手する
② 自宅や会社周辺の災害リスクを確認する
③ 最適な避難場所や避難ルートを確認する

それでは、各手順について詳しく見ていきましょう。

ハザードマップは、以下の方法で入手することができます。

・市区町村の役所(役場)の窓口に問い合わせる
・自治体のWebサイトからダウンロードする
・国土交通省のハザードマップポータルサイトで検索する

紙版のハザードマップは、インターネットが使えない緊急時にも確認できるので、手元に用意しておくことをおすすめします。
また、ハザードマップは、近年の技術の進歩により予測精度が高まっており、新しい知見に基づいて不定期に改訂されます。常に最新版を確認するようにしましょう。

ハザードマップを使って、自宅や会社周辺の災害リスクを確認しましょう。例えば、洪水ハザードマップでは、浸水深が色分けされているので、自宅や会社が有事の際に何メートル浸水する可能性があるのか、確認することができます。

ただし、ハザードマップでは災害リスクのあるすべての地域をカバーしているわけではありません。色が塗られていないから安全と考えず、自身が確認したいエリアは、役所で過去に起きた災害や浸水履歴なども確かめておくことをおすすめします。

ハザードマップで災害リスクを確認したら、最適な避難場所と避難ルートを策定しましょう。
自宅や会社から避難場所までの経路を複数検討し、安全性の高い避難ルートを事前に作成しておくことが望ましいです。避難ルート上に危険な箇所がないか、実際に歩いて確認することも大切です。
また、避難場所までの所要時間を把握し、避難のタイミングを逃さない点も大切です。災害の種類によって、避難場所や避難ルートが異なる場合もあるので、複数のハザードマップを確認しながらルートを検討するのが重要です。

以上のように、ハザードマップと防災マップを有効に活用することで、災害時の安全かつ速やかな避難のための準備ができます。日頃から防災意識を高め、いざという時に備えておきましょう。

ハザードマップの活用事例

ハザードマップは、事業継続計画(BCP)の策定や、従業員の安全確保のために有効活用することができます。
ここから、鈴木シャッター本社(東京都豊島区南大塚1-1-4)を例として、どんな災害リスクがあるのかハザードマップで見ていきたいと思います。

「わがまちハザードマップ」で住所を入力して調べてみると、豊島区では「洪水・内水ハザードマップ」と「土砂災害ハザードマップ」が公開されており、本社がある場所は浸水エリアに該当していました。
想定される浸水の深さは敷地内で異なりますが、「0.1m~0.5m未満」のエリアと「0.5m~1.0m未満」のエリアがあります。そこで、当社では、BCP対策の一つとして、想定浸水深より低い位置にある出入口には防水対策を施しています。

地下スロープの入口に防水シートⅢ

地下スロープの入口には、防水板アピアガード「防水シートⅢ」を設置しています。組立部材は下部・サイドレールに収納されているため、いざという時もその場にいる社員が一人でセッティングすることができます。対応水位は1mのため、ハザードマップで想定されている最大の浸水が発生しても、被害を最小限に食い止められます。

倉庫のシャッター前にオクダケ

倉庫のシャッター前には、鈴木シャッターを代表する防水板アピアガード「オクダケ」を設置しています。工具は不要、防水板をレール内に3段置くだけなので、一人でも1分程度で設置が完了します。こちらは「オクダケW」タイプで、対応水位は0.5mとなっています。

浸水対策には防水板がおすすめ

ハザードマップは、自然災害から身を守るために欠かせないツールです。ハザードマップを正しく理解し、日頃から防災意識を高めることが、いざという時の適切な行動につながります。

鈴木シャッターでは、簡易的な脱着タイプの防水板から防水扉まで、さまざまな防水商品を取り揃えております。浸水によって被害を受ける前に、防水商品の設置の計画を進めましょう。本格的な台風シーズンを迎える前に、ぜひご検討ください。

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