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「浸水対策ナビ」マガジン
マンションを水害から守る!必要不可欠な浸水対策
「浸水対策ナビ」マガジン【No.34】
近年、局地的な豪雨や台風の影響で、都市部でも深刻な浸水被害が頻発しています。特に低層階に重要設備を持つマンションでは、ひとたび水害が発生すれば、居住者の安全だけでなく建物機能そのものが脅かされるリスクも否めません。こうした背景から、マンションにおける浸水対策は今や不可欠な備えとなっています。
本記事では、都市型水害の現状や、マンション特有の構造的リスク、効果的な物理的対策、さらには国が示す電気設備対策ガイドラインや防災力向上認定制度についてもわかりやすく解説します。マンション管理や防災に関わる方々は、ぜひお役立てください。

都市型水害の脅威とマンションへの影響

近年、集中豪雨やゲリラ豪雨と呼ばれる短時間に急激な雨が降る異常気象が頻発しています。都市部においても内水氾濫による大きな被害が浮き彫りになった例がありました。2018年7月の西日本豪雨では約2.9万戸が浸水被害を受け、そのうちの約1.9万戸が内水被害を受けています。
2019年10月の台風19号では、武蔵小杉のタワーマンションが地下電気設備の浸水により、停電や断水などの甚大な被害を受けました。

こうした事例からわかることとして、マンションにおいては水害発生時に被害を受けやすい場所がいくつか存在します。特に注意が必要なのは、以下の場所です。

  ● エントランス
  ● 1階住戸
  ● 電気設備・水道設備・通信設備
  ● エレベーター
  ● 地下/立体駐車場

これらの場所が浸水した場合、建物への出入りが困難になるほか、電気設備が損傷を受けて停電につながる可能性もあります。電気室や排水設備などの重要な設備が浸水すれば、エレベーターや上水道の機能が停止し、生活を継続することが難しくなる恐れもあります。また、地下駐車場が水没すると車両への重大な被害が懸念されます。

さらに、浸水により出入口が塞がれると、地下にいる人が外へ避難できなくなるという事態も起こり得ます。特に急激な浸水では、命に関わる深刻な事態になりかねません。

マンションを守る!具体的な浸水対策

マンションを水害から守るためには、リスクの把握から具体的な対策まで段階的なアプローチが効果的です。まずは自身のマンションがどのようなリスクにさらされているのかを知り、そのリスクに応じた対策を講じることが重要になります。

マンション浸水対策の第一歩は、自治体が公開しているハザードマップや防災マップなどで該当地域の水害リスクを確認することから始まります。これらのマップでは洪水、内水氾濫、高潮による想定浸水深や浸水継続時間を調べることが可能です。

国土交通省が公開している「浸水ナビ」などのツールも活用できるでしょう。ハザードマップの確認によって、建物周辺エリアの推定される浸水の深さなどを知り想定浸水規模を設定することができます。このような情報を基に、建物の機能継続に必要な浸水対策を適切に計画することが可能になります。

なお、ハザードマップの種類や使い方、調べる際の注意点などについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:
ハザードマップとは?意味や種類・使い方・調べる際に押さえるポイントを解説
(浸水対策ナビNo.29へ)

浸水を防ぐには、以下のような対策を単独または組み合わせて実施することが効果的です。

  ● 防水板(止水板)の設置
  ● 防水扉の設置

防水板は建築物の開口部からの水の侵入を防ぐパネルで、水害時における基本的な防御手段のひとつです。選定の際は、漏水量等級や設置のしやすさといった性能面を考慮し、マンションの構造や想定される浸水深さに応じて検討することが大切です。防水扉は、電気室などの重要設備を保護する目的に適しています。

なお、自治体によっては、防水板や防水扉の設置に対して助成金制度を利用できる場合があります。制度の概要や申請のポイントについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:
助成金を活用して、今こそ浸水対策!「防水板」助成金の活用事例をご紹介。
(浸水対策ナビNo.11へ)

建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン

2019年10月の台風19号で首都圏の多くの高層マンションの地下電気設備が浸水被害を受けたことを受け、2020年6月に国土交通省と経済産業省から「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」が公表されました。このガイドラインでは以下の重要なポイントが示されています。

【浸水リスクの少ない場所への電気設備の設置】
電気設備は、できるだけ浸水リスクの少ない高い位置に設置することが基本的な対策として重要である。低層階に設置が必要な場合は、水防ラインの設定など、浸水対策を併せて講じる必要がある。

【水防ラインの設定と対象建築物内への浸水防止対策】
出入口や開口部での防水板(止水板)・防水扉の設置、マウンドアップ(床面の嵩上げ)といった対策を一体的に行い、建物内への浸水経路を遮断することが重要。

【排水設備からの逆流防止と貯留槽の溢水防止措置】
下水道からの逆流を防止するバルブの設置や、貯留槽が満水になった場合の溢水防止措置が必要。

【洪水など発生時のタイムラインと関係者の役割明確化】
浸水対策の取組に必要な機材・人員・時間などを踏まえたタイムラインを作成し、各関係者(所有者・管理者、電気設備関係者など)の役割を事前に確認しておくことが重要。

【電気設備が浸水した場合の早期復旧対策】
万が一浸水した場合に備え、連絡体制図や設備関係図面の整備、復旧手順の明確化など、電気設備の早期復旧のための対策をあらかじめ検討しておくことが重要。

台風や集中豪雨に備えた防水対策や日常的にできる備えについては、「防災の日」に関連した下記の記事でも詳しく紹介しています。水害への備えを検討したい方は、ぜひご覧ください。

関連記事:
9月1日は「防災の日」 。台風や集中豪雨に備えた防水対策を! (浸水対策ナビNo.5へ)

防災力向上マンション認定制度と浸水対策

近年、災害に強いマンションを認定する自治体の制度が増えています。これらは一定基準の防災性能を有するマンションを自治体が認定するもので、2022年2月には横浜市が「よこはま防災力向上マンション認定制度」を開始しました。

【よこはま防災力向上マンション認定制度】
概要防災活動などのソフト対策を実施しているマンションを「ソフト認定」、建物全体の対策を実施しているマンションを「ハード認定」、地域との連携が図られているマンションはさらに「ソフト+(プラス)認定」または「ハード+(プラス)認定」として認定
ハード認定の
浸水対策に関する基準
  • 浸水ハザードマップの想定浸水深を踏まえて浸水対策を講じること
  • 建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(国土交通省・経済産業省、令和2年6月)に沿って設計すること
浸水対策の
基本的考え方
  • 浸水対策はさまざまなハード/ソフト対策を施すことで浸水リスクの低減を図るものである
  • 「絶対」はなく、対策を講じていても災害時の適切な行動が重要
浸水対策の
検討手順
①対策目標浸水深の検討
②浸水から守る対象の検討
③浸水対策の具体的な手法の検討
④タイムラインの検討
⑤浸水対策の実装
⑥定期的な訓練の実施など

参考:横浜市建築局|よこはま防災力向上マンション認定制度 浸水対策の手引き

このような制度を受けることで、資産価値の向上や住民の防災意識の向上といったメリットがあります。こうした制度の広がりは、マンションの浸水対策を含む防災対策の必要性が社会的に高まっていることを示しています。

まとめ|鈴木シャッターからのご提案

近年増加する集中豪雨や内水氾濫による都市型水害から、マンションを守るためには適切な浸水対策が不可欠です。特に地下電気設備の浸水は長期間の停電や断水につながり、居住継続を困難にします。ハザードマップでリスクを把握し、建物の水防ラインを形成する防水板や防水扉の設置、排水設備の逆流防止措置などの物理的対策を講じることが重要です。また、発災時に備えたタイムライン作成や訓練実施などのソフト対策も欠かせません。

鈴木シャッターでは、これらの防水商品を多数取り揃えており、マンションの状況に最適な製品を選べます。

こうした浸水対策におすすめの商品として、鈴木シャッターではレール設置工事不要の簡易脱着式防水板「オクタッチ」をご用意しています。エントランスの意匠を損なわず、3ステップで簡単セットでき、Ws-5相当の高い防水性能を実現した画期的な商品です。「オクタッチ」の設置方法や防水性能、サイズ展開などについて、詳しくは以下のページでご確認ください。

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鈴木シャッターでは「オクタッチ」をはじめ、さまざまな防水商品を取り扱っています。マンションの浸水対策についてのご相談・資料請求は、鈴木シャッターまでお気軽にお問い合わせください。

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