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「浸水対策ナビ」マガジン
線状降水帯による集中豪雨で浸水、そのとき病院は
【事例】福岡県久留米市・田主丸中央病院様
「浸水対策ナビ」マガジン【No.30】
ひとたび病院や福祉施設などで浸水が起きると、人命に関わるだけでなく、高度医療機器やネットワーク環境につながる電源の浸水など甚大なダメージが想定されます。しかし、日々多忙を極め、なかなか浸水対策の見直しが図れない事業者も多いのではないでしょうか。
2023年7月に九州北部を襲った豪雨では、広い地域で電気や水道・下水などのライフラインが寸断されました。その被災地域に位置し、実際に大きな被害に遭った経験から浸水対策の大幅な見直しに着手された田主丸中央病院の鬼塚一郎院長にお話を伺いました。

<概要>
・導入先:医療法人聖峰会 田主丸中央病院 様
・所在地:福岡県久留米市田主丸町益生田892
・設置場所:建物外構部
・浸水リスク:0.5m以上2.0m未満(出典:久留米市浸水ハザードマップ)
・導入製品:脱着タイプ防水板「アピアシャット」

【鬼塚院長インタビュー】
線状降水帯によるかつてない豪雨災害を経験

鬼塚一郎院長

―当時の被害状況をお聞かせください。
九州北部上空に6時間にわたりとどまった線状降水帯の影響で、明け方前から記録的な豪雨となり田主丸町一帯が冠水し、病院施設の1階部分が浸水しました。入院患者様の避難対応は日ごろからマニュアルを作って訓練していたので夜勤体制でも速やかでした。
しかし、1階部分に集中していた病院内のほぼすべての医療機器が水に浸かる甚大な被害を受けました。清掃活動のボランティアの皆様のご協力や、医療関係者のご厚意により一部の医療機器をお借りするなどして約1週間で診療を再開できましたが、CTなどの高度医療機器がある程度そろい、ほぼ災害前の状態に復旧するまでには約半年を要しました。

病院施設の1階部分が浸水

― 近年の気象の変化は感じていらっしゃいましたか。
この地域では10年ほど前から病院の南方の耳納連山に降った雨が平地に流れ出て、病院のすぐ北側にあるJRの線路土手で堰き止められるため、敷地が冠水する被害が増えていました。そのため、土のうや簡単な防水板で対策していましたが、昨年はそれらがまったく機能しない水量と水圧の恐ろしさを経験しました。想定外の自然災害は突然にやってくるものです。特に九州北部では、豪雨は夜間に降ることが多い傾向があります。病院や福祉施設など入院患者・入所者様がいる施設では、スタッフが少ない時間帯を想定して万全の対策をしておくことが必要だと実感しました。

防水対策を強化するため鈴木シャッターの防水板を設置

脱着タイプ防水板「アピアシャット」

― どのような経緯で鈴木シャッターの防水板を選ばれましたか。
病院施設の修繕計画(防水壁の整備も含めた大規模修繕を計画)を進めるなかで、建設会社に浸水対策として防水板設置の相談をしました。そのときに建設会社が品質に信頼をおいて提案してくれたのが鈴木シャッターでした。
建物外構部を防水壁で囲み、開口部に10カ所108枚の脱着タイプ防水板「アピアシャット」を導入しています。これまで以上の集中豪雨が降る可能性も想定し、高さ1.5mの高水位仕様の防水板も採用しました。

― 導入後、「アピアシャット」を設置するような豪雨はありましたか。
昨年と同程度以上の豪雨は結果的にはありませんでした。しかし雨は夜間から早朝にかけて降ることが多いので、日中のスタッフ体制で作業ができる前日の夕方に、気象庁が発表する「早期注意情報」をもとに防水板を設置しています。導入後これまでに10回以上は設置しています。具体的には、当病院のマニュアルを作り、予想される雨量に応じてレベル1~3に分け、パネルの設置箇所と枚数を変えています。 以前は力仕事ができる職員が総出で土のうを積んでいましたが、「アピアシャット」はパネル1枚が比較的軽いので、そのときのシフトメンバー誰もが取り扱うことができます。予報に応じた毎回の設置が訓練となっていざというときにも生きてくると思います。

予想雨量レベル3なら外壁開口部にはすべて設置

万全をめざした装備と体制で、地域の医療を守る

― 地域の医療を担う病院としての思いをお聞かせください。
当病院は災害指定病院の指定を受けております。2023年の水害の際には自ら被災してしまい、その役割を果たせなかったことが悔やまれます。その反省を深く心に刻み、二度と医療機能を止めることのないよう、万全を期した装備と災害時のスタッフ体制づくりを徹底してまいります。災害対策は日ごろから意識して、実践がともなっていることが大切です。そうした意味でも鈴木シャッターの防水板によって、しっかりとした防水対策につながることが、私たちの安心を支えてくれています。

「地域になくてはならない病院を水害から守りぬく」と語る鬼塚一郎院長

まとめ

田主丸中央病院様では、事前に作成したマニュアルのレベルに沿って、気象庁の「早期注意情報」を受け、前日に防水板を設置するという浸水対策をされていました。これは夜間に入院患者・入所者がいる病院や福祉施設などの事業者に限らず、夜間に人がいない店舗や倉庫をお持ちの事業者にも参考にしていただけるのではないかと思います。
田主丸中央病院様、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

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